【データで見る】家庭用プリンター・スキャナーの隠れた電気代と効果的な節電術:家族で取り組むエコオフィス
家庭用オフィス機器の隠れた電気代:見落としがちなコストに注目
ご家庭にプリンターやスキャナー、あるいはそれらを兼ね備えた複合機はありますでしょうか。在宅勤務の機会が増えた方や、お子様の学習のために導入された方もいらっしゃるかもしれません。これらのオフィス機器は、使用している時だけでなく、コンセントに繋がれている間、常に電気を消費していることをご存知でしょうか。
特に、印刷やスキャンを行う頻度はそれほど高くないというご家庭の場合、機器が稼働している時間よりも、電源が入った状態で「待機」している時間の方が圧倒的に長いと考えられます。この待機電力や、機器の消費電力特性を理解し、適切な対策を行うことで、年間を通して見ると無視できない電気代の削減に繋がる可能性があります。
この記事では、家庭用オフィス機器の消費電力の実態をデータに基づき解説し、実践可能で効果的な節電方法をご紹介します。さらに、ご家族で楽しみながら取り組める「エコオフィス」化のヒントもご提案します。
データで見る家庭用オフィス機器の消費電力
家庭用のプリンターやスキャナー、複合機は、機種や機能によって消費電力が大きく異なります。特にインクジェットプリンターかレーザープリンターか、またスキャナー機能やコピー機能、FAX機能の有無などによって電力消費の傾向は変わります。
一般的に、これらの機器の消費電力は以下の3つの状態に分けられます。
-
最大消費電力 (印刷/スキャン時): 印刷やスキャン、コピーなどの動作中に最も電力を消費する状態です。特にレーザープリンターは、トナーを定着させるヒーターに電力を使うため、インクジェットプリンターに比べて最大消費電力が高い傾向があります。
- インクジェットプリンター: 数W〜数十W
- レーザープリンター/複合機: 数十W〜1000W以上(定着時の瞬間的なピーク含む)
- スキャナー単体: 数W〜十数W
-
待機時消費電力 (スリープ状態): 電源は入っているものの、何も操作されていないスリープ状態です。多くの機器がこの状態を保っており、リモートでの印刷指示やFAX受信、ネットワーク機能の維持などに備えています。見落とされがちなのがこの待機電力です。
- 多くの家庭用機器: 1W〜10W程度(機種により大きく変動)
-
電源オフ時消費電力: 主電源スイッチを切った状態、またはコンセントからプラグを抜いた状態です。主電源を切ってもわずかな待機電力を消費する機種もありますが、コンセントから抜けば電力消費はゼロになります。
例えば、待機時消費電力が5Wの機器を1年間コンセントに繋ぎっぱなしにした場合、待機電力だけで年間 5W × 24時間 × 365日 = 43.8kWh を消費することになります。契約している電力会社の料金プランによりますが、仮に1kWhあたり30円とすると、これだけで年間 43.8kWh × 30円/kWh = 1,314円 程度の電気代がかかっている計算になります。これは機器を全く使用しない場合の「隠れたコスト」です。
印刷やスキャンを頻繁に行う場合は使用時の電力も加算されますが、使用頻度が低いほど待機電力の割合が大きくなります。ご家庭のプリンターや複合機の仕様を確認し、待機時消費電力を把握することが節電の第一歩です。
効果的な節電術:データで見る削減効果
家庭用オフィス機器の電気代を削減するための具体的な方法と、それぞれの効果を見ていきましょう。
1. 使用しない時は主電源を切る/コンセントから抜く
最も基本的かつ効果的な方法です。多くの機器は、本体に主電源スイッチがあります。これをオフにするだけでも待機電力を大幅に削減できます。さらに確実にゼロにするには、コンセントからプラグを抜くか、スイッチ付き電源タップを活用するのが良いでしょう。
- 削減効果: 待機電力のほぼ100%を削減できます。前述の例(待機電力5W)であれば、年間1,300円以上の節約に繋がります。
- 実践のポイント: 印刷やスキャンの指示を出す際にすぐに電源を入れられるよう、アクセスしやすい場所に設置する、スイッチ付き電源タップを使うなどの工夫をすると、手間を減らせます。
2. スリープモードの設定時間を見直す
多くの機器は一定時間操作がないと自動的にスリープモードに入る設定になっています。このスリープに入るまでの時間を短く設定することで、待機状態への移行を早め、電力消費を抑えることができます。設定方法は機器の取扱説明書をご確認ください。
- 削減効果: 待機時消費電力への移行を早めることで、アイドル状態(スリープより消費電力が高い状態)の時間を短縮できます。具体的な削減量は機器のアイドル時とスリープ時の消費電力差によりますが、積算すると数W〜十数W程度の削減に繋がる可能性があります。
3. エコ設定(ドラフト印刷、両面印刷など)を活用する
印刷の画質を「標準」や「きれい」から「ドラフト(速い/エコ)」に変更したり、両面印刷を活用したりすることで、印刷にかかる時間を短縮し、消費電力を抑えることができます。特にレーザープリンターの場合、印刷時間が短くなると定着ヒーターの稼働時間も短くなり、効果が期待できます。
- 削減効果: 印刷時の消費電力ピークの継続時間を短縮できます。印刷枚数や機器の種類にもよりますが、印刷1回あたりの消費電力を数%〜数十%削減できる場合があります。
- データ例: あるメーカーのプリンターで、標準印刷とドラフト印刷の消費電力を比較したデータでは、ドラフト印刷の方が消費電力が低く、印刷速度も速い傾向が見られました。(具体的な数値は機種により異なるため、お手持ちの機器の仕様やレビューをご確認ください。)
4. 印刷・スキャン頻度を最適化する
必要なものをまとめて印刷したり、スキャンしたりすることで、機器のウォームアップや初期起動にかかる電力消費の回数を減らすことができます。また、不要な印刷は控え、データでの確認・共有を基本とする習慣をつけることも重要です。
- 削減効果: 機器の起動時やウォームアップ時には比較的大きな電力を消費します。これらの回数を減らすことで、積算電力の削減に繋がります。
家族で取り組むエコオフィス術
家庭用オフィス機器の節電は、使い方や習慣の改善が中心となるため、ご家族の協力が不可欠です。ぜひご家族で楽しみながら「エコオフィス」化に取り組んでみてください。
- 「プリンター使ったら電源オフ!」を合言葉に: 使用後に主電源を切る、またはスイッチ付き電源タップのスイッチを切ることを家族のルールにする。機器本体やスイッチ付き電源タップに簡単なイラスト付きの貼り紙をするなど、分かりやすく習慣化を促す工夫も有効です。
- 「印刷物いる? データでいい?」の声かけ: 家族間で書類や情報を共有する際、すぐに印刷せず「これって印刷しないとダメ?スマホで見られるPDFで共有しようか?」などと声をかけ合う習慣をつける。
- 印刷物一時保管ボックスの設置: すぐには使わないけれど印刷が必要な書類を一時的にまとめておくボックスを作り、週に一度など決まった曜日にまとめて印刷する。
- 「エコ印刷チャレンジ」: 「今月はドラフト印刷を○%増やそう!」など、目標を設定し、達成度を共有する。子供と一緒に印刷設定画面を確認し、エコ設定を覚えるのも良いでしょう。
- 節約できた電気代を見える化: 上記で解説した待機電力の削減効果などを数値で示し、「この習慣で年間これだけ電気代が減るんだよ」「これは旅行に○回行ける金額に相当するね!」など、具体的なメリットを共有することで、家族のモチベーションを高めることができます。スマートプラグで個別の消費電力を計測し、データを共有するのもIT関連の読者ペルソナのご家庭では特に興味を引くかもしれません。
まとめ
家庭用プリンターやスキャナーなどのオフィス機器は、使用頻度が低くても待機電力によって電気代が発生している場合があります。特に待機電力は意識しないと見過ごしがちですが、適切な電源管理や設定変更を行うことで、年間を通して見ると無視できない節約効果が期待できます。
ご紹介した「使用しない時は主電源を切る」「スリープ設定を見直す」「エコ設定を活用する」といった具体的な節電方法を実践してみてください。そして、これらの取り組みにご家族を巻き込み、「プリンター使ったら電源オフ!」などの分かりやすいルールを設けることで、無理なく楽しみながら「エコオフィス」を実現し、ご家庭全体の節電に繋げていくことができるでしょう。
ぜひ今日から、ご家庭のオフィス機器の「隠れた電気代」に注目し、ご家族で協力してエコな使い方を実践してみてください。