スマートスピーカー、IPカメラ、スマートディスプレイの常時稼働電力:見落としがちな電気代と家族で取り組む節電
家庭に増えるIoTデバイスと隠れた消費電力
近年、私たちの家庭にはインターネットに接続された様々なIoTデバイスが増加しています。スマートスピーカー、IPカメラ、スマートディスプレイなどがその代表例です。これらのデバイスは私たちの生活を便利で豊かにしてくれますが、その多くが常時電源に接続され、待機状態または監視状態を維持しています。
一般的な家電製品の節電は多くの家庭で意識されていますが、比較的新しいこれらのIoTデバイスの消費電力については、見落とされがちな場合があります。特に常時稼働しているデバイスは、たとえ個々の消費電力が小さくても、積み重なることで無視できない電気代となる可能性があります。
本稿では、スマートスピーカー、IPカメラ、スマートディスプレイといった代表的なIoTデバイスの消費電力の実態に焦点を当て、具体的な節電方法と、ご家族で一緒に楽しみながら取り組むためのヒントをご紹介いたします。
代表的なIoTデバイスの消費電力の実態
スマートスピーカー、IPカメラ、スマートディスプレイは、製品や機能、使用状況によって消費電力が異なります。しかし、多くの場合、常にネットワークに接続し、音声コマンド待ちや映像監視などを行っているため、待機状態であっても一定の電力を消費しています。
具体的な消費電力の目安は以下の通りです(一般的な製品の場合)。
- スマートスピーカー:
- 待機時:約1W~3W
- 動作時(再生など):約3W~10W
- 特定の機種では、より高機能であるほど消費電力が大きい傾向があります。
- IPカメラ:
- 常時監視/待機時:約2W~5W
- 録画/通信時:約5W~10W
- 赤外線暗視機能や首振り機能などを持つモデルは、これらの機能使用時に消費電力が増加します。
- スマートディスプレイ:
- 待機時(画面オフ):約3W~6W
- 待機時(画面オン/時計表示など):約5W~10W
- 動作時(動画再生など):約10W~20W以上
- 画面サイズや輝度設定によって大きく変動します。
これらの数値は小さく見えるかもしれませんが、24時間365日稼働し続けると、年間で数百円から数千円の電気代として蓄積されます。複数のデバイスがある家庭では、その合計金額はさらに大きくなります。
例として、待機時3Wのデバイスが1台ある場合、年間の消費電力量は約26.28 kWh(3W × 24時間 × 365日 ÷ 1000)となります。電気料金を1kWhあたり30円と仮定すると、年間で約788円の電気代がかかることになります。これが複数台になれば、隠れたコストとして無視できません。
IoTデバイスの消費電力を抑える具体的な節電方法
IoTデバイスの利便性を維持しつつ、無駄な消費電力を削減するためには、いくつかの具体的な方法があります。
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不要時の電源OFF:
- 最も直接的な方法ですが、都度電源を抜くのは手間がかかります。
- スマートプラグの活用: スマートプラグを使用すると、スマートフォンアプリやスマートスピーカーからの音声操作、タイマー設定などにより、簡単に電源のオン/オフを管理できます。例えば、就寝中や外出中など、使用しない時間帯だけ電源を切る設定が可能です。
- 年間効果目安: 夜間(8時間)だけ電源を切る設定をスマートプラグで行う場合、年間約8.76 kWh(3W × 8時間 × 365日 ÷ 1000)の節電となり、電気代に換算すると年間約263円(1kWh=30円の場合)の削減が見込めます。複数のデバイスに適用すれば、その効果は倍増します。
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エコモードや省電力設定の活用:
- 多くのIoTデバイスには、省電力設定やエコモードが搭載されています。取扱説明書やアプリの設定画面を確認し、可能な範囲でこれらの機能を活用します。
- スマートディスプレイ: 画面の輝度を下げる、一定時間操作がない場合に画面をオフにする設定を有効にする、夜間モードを設定するなど。
- IPカメラ: 動き検知録画のみに設定し、常時録画を避ける。不要な通知機能をオフにする。夜間は赤外線モードをオフにする(セキュリティ上問題ない場合)。
- 年間効果目安: スマートディスプレイの画面を夜間オフにするだけで、待機電力の削減に繋がります。設定次第で、数W~10W以上の削減効果が得られる場合があり、年間数百円~千円単位の節電に繋がる可能性があります。
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機能の見直しと適切な配置:
- 複数のデバイスが同じ機能を提供している場合、必要に応じてデバイスを整理することも検討します。
- 熱を多く持つデバイス(特に古いモデルや高性能なモデル)は、風通しの良い場所に設置し、放熱を妨げないようにすることで、デバイスの安定稼働に繋がり、結果的に無駄な電力を消費しにくくなる場合があります。
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購入時の省エネ性能チェック:
- 新規にIoTデバイスを購入する際は、消費電力や省エネ性能に関する情報を確認することも重要です。比較的新しいモデルは、旧モデルよりも省エネ化が進んでいる傾向があります。
家族で楽しみながらIoTデバイスの節電に取り組むヒント
IoTデバイスの節電は、家族全員で取り組むことで、より効果的になり、意識も高まります。
- 「消して」チャレンジ: スマートスピーカーの音声操作機能を利用して、「(デバイス名)、オフにして」と声をかける習慣を家族で作ります。子供たちが楽しみながら節電に参加できるきっかけになります。
- スマートプラグde「おやすみタイム」: スマートプラグでIoTデバイスの電源タイマーを設定し、「〇時になったらおやすみする時間だよ」と家族に周知します。自動で電源が切れる仕組みは、消し忘れを防ぐだけでなく、デバイスに依存しすぎない生活習慣を作るきっかけにもなります。
- 電力「見える化」ゲーム: スマートメーターやHEMS、またはスマートプラグの電力計測機能などを活用し、特定の時間帯や日、週でどれだけ節電できたか、電力消費量がどう変化したかを家族で一緒に確認します。グラフなどで変化が目に見えると、モチベーション維持に繋がります。「今月のIoT節電目標〇〇kWh!」のように、目標を設定するのも良いでしょう。
- 役割分担: 各デバイスの担当者を決め、そのデバイスの節電設定や電源管理を任せます。子供にも簡単な操作やチェックを任せることで、自主性や責任感を育みつつ、家族全員が節電に関わる意識を高めることができます。
- 便利さとのバランスを話し合う: IoTデバイスは私たちの生活を便利にするためのものです。節電のために過度に機能を制限したり、不便になったりしないよう、家族で話し合い、どこまで節電に取り組むか、最適なバランスを見つけることが重要です。
まとめ:賢く使って、便利さとエコを両立
スマートスピーカー、IPカメラ、スマートディスプレイなどのIoTデバイスは、私たちの生活に不可欠な存在になりつつあります。これらのデバイスが常時稼働していることで発生する見落としがちな消費電力に意識を向け、ご紹介した具体的な節電方法を実践することで、年間の電気代を確実に削減することが可能です。
スマートプラグを活用した自動化や、電力の「見える化」ツールを取り入れることは、特にITリテラシーの高い読者の皆様にとって、無理なく効率的に節電に取り組む有効な手段となるでしょう。
そして、家族で協力し、楽しみながら節電に取り組むことは、単に電気代を減らすだけでなく、子供たちのエコ意識を育み、家族のコミュニケーションを深める貴重な機会となります。
IoTデバイスを賢く管理し、便利で快適な生活を維持しながら、環境にも家計にも優しい「家族でエコチャレ!」をぜひ実践してみてください。